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The New Takeuchi Journal Plus+

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マッスルハウス8、DDT、その他興行について

プロ格

もともとマッスルを夜観戦する予定だったのだが、昼のDDT興行も観戦してきた。家が近いと便利だなぁ。大会の結果なんかはこちらのリンクを張らせてもらって、自分は最近思っている興行の当たり外れについて書いてみようと思う。

angle JAPAN: ヨシヒコがアンダーテイカー化し、タッグ選手権は名勝負に!しかし試合後に悲劇が……

http://www.kamipro.com/fight/?id=1238412363

先日、会社の人に誘われシティボーイズのライブに行ってきた。去年に続いて2回目なのだが「よく去年のもあったのに来たねぇ」と言われた。おそらく、去年のライブの出来が良くなかったのに今年も来ることにしたなぁということだと思う。去年もけっこうおもしろかったんだけどな。自分の答えとしては「プロレスの興行なんて10回に1回くらいしか当たりがないですから」というもので、これではプロレスをまったく褒めていないように聞こえてしまう。


たしか、ルー・リードが言っていた言葉だと思うんだけれども「ボブ・ディランがすごいのは、彼の次のアルバムが最高傑作になると思わされるところだ」というようなことを言っていた。もう、ニュアンスしか覚えていないし、もしかしたら言ってなかったりして。ディランのような大御所になるともはや「追憶のハイウェイ61」をピークになんとなく惰性で音楽活動を続けていってもいいのに、もしかしたら次のアルバムがそれを超えるんじゃないかという期待を常に持たせるということは、それだけで価値がある。


実際ディランは、期待を裏切ったりもしたが、70年代には「血の轍」、「ディザイア」、80年代には「オー・マーシー」、90年代には「タイム・アウト・オブ・マインド」といった大傑作をモノにしている。自分なりに解釈すると「ディランはいまだ未完成」「未完成であることは価値がある」ということだ。


プロレスの興行もそんなもので、はずれを見届ける内に大傑作を目撃する可能性をはらんでいて、自分はその可能性を信じているのだ。大傑作は、本当にめったにないんだけれど去年の「K-1MAX決勝戦」、「キャンプ場プロレス」なんかは、それにあたる。自分はK-1もプロレスも同じように見る。リング上という舞台で複数の試合が時系列的に進んで行くという形式が同じなので、同じように見られる。キャンプ場とかマッスルなんかは、その形式を意識的に逸脱しているので反転させた見方をすれば同じだ。


今回のマッスルハウス8の最後のほうは痛々しくてつらかった。私の「プロレスの当たりは10回に1回」理論で行くとマッスルは興行数が少ないから不利だ。ところが、これまでのマッスルは異常な当たり率だった。それこそ、ほとんど・・は言い過ぎでも半分くらいは良かった。マッスルの場合、観戦というより目撃しにいっている感覚が強く、どんな仕掛けがあるのかを楽しみにしている。


プロレスの複数の試合が時系列的に進んで行くということを解体して、試合結果をエンディングで流すだけだったり、そういう仕掛けが斬新だった。ところが最近では、それが普通になってきてしまい、坂井もそのへんを意識してか、逆に普通のプロレスをやるとかいう内容が多くなってきている。通常のプロレスではメインイベントがオチとして機能しているのだが、マッスルはそれを放棄しているので、そうじゃないオチが求められている。そして、坂井はオチをつけるのが苦手な気がする。


シティボーイズのライブの話に戻る。今回のライブは「そこで黄金のキッス」というタイトルで、舞台もくちびるの形になっていたのだが、内容はキスとまったく関係なく、黄金は金色に塗られた人が出てくるというくらい。まあ、語感でタイトルを決めた感じだ。伏線になりうる部分もたくさんあったのだが、それはひとつも回収されなかった。というか回収する気もなかったと感じた。


このへんにマッスルとのものすごいちがいを感じた。坂井は、まじめに伏線を回収して大団円に持っていきたいのだが、それは予定調和であることもわかっているので抵抗感があって、どうしたものやら混乱している気がする。シティボーイズほど自由にやってしまうと、これまでのマッスルファンは離れてしまうかもしれないから。今回だって鈴木みのるがアマゾンから帰ってきたところで、うまいこと終わりにできたと多くの人が思っただろう。


思い切って、坂井以外の人が台本を書いてもいいんじゃないかと思う。ディーノが「マッスルは坂井とその周りの人の話」だと言っていて、それは正しいと思うが、もはや一種の興行形態としてアリになっているので、坂井の調子にこれ以上左右されるようだと「当たりは10回に1回」の普通のプロレス興行になってしまう。


その点、昼間のDDT興行はチームとして機能していてすごく良かった。大森さんの天然ぶりも周りがフォローするかたちで大盛り上がりにもっていったり、それにお客さんも乗っていて気持ちよかった。ヨシヒコの存在なんて、お客さんの度量がないと受け入れられない。「強い、弱い」の二元論の格闘技ファンにあの試合を見せたらバカ負けして謝ってきそうだ。


自分は一度信じたら、ずっと信じていたいので、これからもマッスル、DDTを含めたプロレス全般を見て行くのだろうけれども、それはプロレスを信じているんじゃなくて「最高傑作は未来に存在する」ということを信じたいからだ。そういう意味で、すごく期待しちゃうんだよね。6.16花やしきプロレスに。
http://www.ddtpro.com/infomation/info.cgi?no=907