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「ダークナイト」

上野で先行上映を見てきた。得意技の金券ショップチケットを使えないのが痛かったけど、この作品の圧倒的な存在感を味わえたからよしとしよう。それにしても重い映画だった。子供にはとても見せたくないし、デート向きでもない。わたしは一人で昼間の回に見に行って、出てきたときには夕方になっていた。人でにぎわう夕陽に照らされた上野公園がまったく明るく見えず、かなり暗い気分になっていた。


とまあヒーロー映画でスカッとするかと思ったら大間違い。「ポニョ」でも見てリハビリしないと気が滅入っておかしくなりそうだ。前評判どおりヒース・レジャーの演技は際立っていて、それは見終わったあとにバットマンの演技はあまり印象に残ってないのにジョーカーの仕草、セリフなんかはずいぶん覚えていることからもわかる。


なんか、整理がつかないな。ざっくり言うとテーマは「人間の中の善悪」ということなんだと思うんだけれど、ジョーカーはそこから外れちゃってるんだよな。人間の中の善悪は一人の中に善もあれば悪もあり、それのわかりやすい例として「ツーフェイス」とあだ名される検事のデントが登場したりする。バットマンのブルースでさえ、レイチェルとデントの関係に対しては醜い一面を見せたりする。出てくるチンピラたちもお金を山ほど持っていたら悪事に走らない可能性が高い。でも、ジョーカーはちがう。「悪」そのものなのだ。


あれ?もしかしてトランプ(≒人間)の中で、ひとつだけ外れているからジョーカーという名前なのかな?そういう意味もあるんじゃないかね。登場人物の中でジョーカーが際立っているのは、まったくブレがないからだと思う。なにをするにも躊躇がない。そこが怖い。この絶対的な「悪」はなにか具体的なもののメタファーなのだろうか?自分には、ちょっとわからなかった。


2時間半もある映画なので、もう一回くらい見ないといけないかもしれないが、いろいろなシーンを思い出すたび、話したいことが浮かんでくる。やはり傑作といえるだろう。ただし、人間賛歌ではない。むしろ、人間であることがつらくなってくる。無理やり明るく考えると、絶対的な悪はそうそういるものじゃなくて助かったなぁという感じだ。「善悪」についてなんて考えたことがないものだから、すっかり疲れてしまった。でも、重ねて「大傑作」だということは伝えておきたい。