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「JUDOを学べ〜日本柔道 金メダルへの苦闘〜」

今週は飲み会も多くて、結局3日しか働かなかったのであっという間だった。5日にNHKでやっていた特番がかなりおもしろかったので、そのことを書いてみようと思う。


「JUDOを学べ〜日本柔道 金メダルへの苦闘〜」
http://www.nhk.or.jp/special/onair/080505.html


以前、報道ステーションでも取り上げられていた題材で、ものすごい勢いで進化するヨーロッパの柔道(以下JUDO)と、それに対抗する日本柔道の姿を追ったもの。日本の柔道は距離をつくってからの投げによる一本を狙うのが基本だがJUDOでは距離をつくらないかたちで、いかにして攻撃するのかということに主眼が置かれている。


最終目的として、相手の背中を畳につけるということは一緒なのだが、そこにもっていくまでの過程が異なるので技術体系がかなり異なってきている。それで、最近の日本柔道はかなり苦戦している。井上康生は大胸筋断裂の大怪我をして2005年に復帰したが、めっきり勝てなくなった。当初は怪我の影響だと思っていたが、JUDOの躍進というのも大きかったのだろう。


そういやアテネでの戦いにもその兆候はあった。

準々決勝では、バンデルギースト(オランダ)に先に有効二つポイントを取られる。取り返すべく前に出たところを、背負い投げでかつがれた。残り12秒を残しての一本負けだ。
敗者復活戦に回るも、今度はミラリエフ(アゼルバイジャン)に大内刈りを裏投げ(大内返し)で返され、完全にメダルへの道は閉ざされる。
「いつもの大内刈りじゃない。康生は胸をあそこまでくっつけないんですよ。大内刈りでどんどん押していったけど、完全に身体が伸び切っていて相手に乗るような形だから、あれでは“返してくれ”と言わんばかり。いつもは足をしっかりかけて、間合いでコントロールできるような大内刈りをするんですけど」。

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これは井上が胸をくっつけたのではなくて、体を寄せられてしまい、厳しい体勢での投げを強いられたということなのではないだろうか?


結局、番組の中で井上は、自分の柔道を変えられないまま玉砕的に散っていく。今回オリンピック代表になった石井慧は、逆にJUDOを積極的に取り入れていく。その柔道は、私の目から見てもつまらない柔道と映っていたが、番組を見ると納得できてしまった。ときには勝つために相手の良さを封じる戦いもできなければ、勝てないということだ。また、封じられない戦い方ができなければいけないということでもある。


この番組のおかげで、これからは石井の試合も楽しめそうな気がしてきた。郷野のライツアウトな試合をおもしろがるようなもんだろう。ただし、きっとこれは過渡期的なもので、いずれは柔道もJUDOもできる選手が勝つようになるのだと思う。なんか総合格闘技の進化の歴史に似ている。


Numberの最新号を読んでいたら、桜庭のすごさについてTKが語っている記事があった。

「(前略)つまり、技にたどりつくまでの過程が、当時寝技の主流だった柔術とはちがったんです。柔術にはベーシックな部分があって絶対といっていいほどセオリーどおりに攻めてくるけど、桜庭さんはそうじゃなかった。いわば、セオリーやパターンがないんです」

つまり、今の柔道もそういう過程の中にあるんじゃないかと思う。