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自由研究宣言

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夏の夕暮れ、5時50分。スピーカーから言問小学校の生徒に向けて「もうすぐ6時なので帰宅しましょう!」との放送が流れた。続けて「今日は28日、夏休みはあと3日です。宿題は済みましたか?」と問いかける。自分は祖母に「おれの今年の夏休みって、今日しかないかもしれないんだよねぇ・・」と苦笑い気味に話しかけ、「まあ、宿題はないんだけどね・・」と続けて、まあまあの笑いをとった。


自分が祖母の家に一人で来るのはとても珍しい。前に来たときは、まだ祖父が健在だった。まだ自分は学生だったような気がする。今日は思いつきで向島を訪れた。今の家から自転車で行けば言問通りをまっすぐ、そのまま30分で着く。ただし、今日はまっすぐ行ったのではない。


金曜日のことだ。自分はもしかしたら月曜日休めるかも・・と思いついた。前日富士山に登る予定だったので、できたら休みらしい休みが欲しいと思って、いろいろな要素を考えたら休めそうだということに気づいた。自分は来るのが早くて帰るのが早い。人から見ると、早く帰っている人にしか見えないので、さぞかしのんびりした生活をしているかのように見えるかもしれない。


でも、実際のところ、今年になって丸々一日有給休暇を使っていない。半休を3回ほど使ったが引越し関係なので、こればかりは致し方ない。正直いって夏休みもとれる気配がなく、ほかの人に「休めば?」とか言われると、「自分の代わりになにかしてくれるんですか?」とイヤミのひとつも言いたくなっていた。


去年は、10年ぶりの海外旅行に行ったりしていたので、今年の寂しさは際立っていた。今日という休みも急に決まったものなので、とくに予定もない。というか、朝早く会社に行って残務を済ませていたので厳密にいうと休みというわけですらない。そのあと10時過ぎに佐藤さんに書類を渡すために順天堂大学病院に向かった。ちょっと時間が早かったので、久々に『散歩の達人』を買った。特集が「神楽坂・本郷・小石川」だったからだ。


佐藤さんを待っているあいだ雑誌を読んでいた。書評コーナーに向島の風景を撮った写真集の紹介があった。向島は私の本籍地だ。祖父母の家がある。子供のころから、よく遊びに行っていた。その書評によると、2011年に第二東京タワーが向島に立つ、とのことだった。そういや、墨田区に立てるといっていたけど・・それが向島とは。変な気分になった。そういう町じゃないんだけどなぁ。


予定のない休みだったもので、家に帰ってデジカメをとってきた。その書評にあった写真集と、自分の見た向島とどうちがうものか比べようと思って写真を撮りに行くことにしたのである。2011年にはタワーも立っちゃうことだし「自分の向島」を写真に残さねばと個人的な使命感も感じた。そんな感じでいろいろ寄りながら向島に着いたのだった。


いないだろうなぁ、と思いながら祖母の家に行ってみると窓が開いていた。「おばぁちゃーん!」と呼んでカギを開けてもらった。突然孫が自転車で来るものだから驚いてはいたが喜んでくれてなによりだ。いろいろしゃべったりしていて夕方になり、冒頭のシーンになった。ちょうど、出前でとってもらった天ざるを食べ終わったくらいだった。


もう少し暗くなり、自転車で帰ることになった。カバンはパンパン。祖母や父母は、亡くなった祖父のことを「戦争でひもじい思いをしたから、人が来ると食え食えとやたら食べ物をすすめる」と言って笑っていたものだが、自分にしてみれば祖母も同じ。今日だって、せんべい、カスタードパイ、ぶどう、漬物、酢の物、天ざる、と食べ物が途切れなかった。そのうえ、お土産をたくさんもらってしまった。これで1週間は食事に困らないだろう。おまけに小遣いまで・・・もう30なんだからいいって・・・ありがとう。


帰り道、自分は夏休みについて考えた。これから休みがとれるかどうかはすごく怪しいところだ。この夏は富士山に登ったし、北アルプスにも行ったし、花火大会も見た。なんとなく他の人から見れば普通の夏休みっぽいのかもしれないが、自分としては何かが不足している。ズバリ、長い休みが足りないのであるが、それは現状を考えると言いっこなしである。


そこで思いついたのだが、勝手に自由研究をしてみることにした。テーマは「私と街」。本を読んだり、実際に取材してみたりしてブログに書いてみる。これなら、休みもあまりいらないし、夏休みっぽい。仕事もつまらないわけじゃないんだから、おろそかにするわけにはいかない。自由研究くらいなら両立できるだろう。それに祖母にもらった小遣いも資料を買えば無駄にはならない。


このような経緯で自由研究してみることにした。一般的な夏休みが終わろうとしているが自分はなにも研究していない。少々不安ではあるが、突発的な休みを充実させる可能性もあるので一石二鳥だろう。さっそく帰りの古本屋で資料を仕入れてきた。いま自分が「宿題は済ませましたか?」と問われたら「今からがんばります!」と力強く答えることができる。