読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

The New Takeuchi Journal Plus+

On The Web Worldwide Since 2001.01.01

「ダメジン」

映画還元ツアーラストは「ダメジン」。三木聡監督幻のデビュー作である。事前情報まったくなしで臨んだこの映画、無駄に豪華なキャスト。今をときめく伊東美咲佐藤隆太が出演しているほか、温水洋一吉岡秀隆など豪華絢爛だ。そして、とにかくダメな人間ばかりが出てくる筋金入りのダメ映画なのだ。


見終わったあとは、「はずしたか・・」と思ったりしたのだが、昼飯やら、飲み会やらで人に話しているうちに、面白い映画になってきた。というのもストーリーとかを追って見ていくと、まったくよく分からないのだが、挿入されるエピソードや、繰り広げられる小ネタがかなりおもしろいのである。


たとえば、猫を食べたりするシーンのジャンケンのやり取り(勝ったほうが食べるか、負けたほうが食べるか)や郵便ポストを奪って郵便物の切手をはがすシーンの不毛さ具合が並大抵ではなくくだらないのである。人に話しているうちに、「あ、こんなシーンもあった!」と思い出して、次々に話したくなってくるところが、この映画の魅力である。


あと、こんな汚い映画は珍しい。たとえば、刺激的な効果を狙って汚物を登場させたりする映画はたくさんある。この映画はそうじゃなく、ナチュラルに汚い。なんか、変な書き方になるが、狙わないで汚いのである。登場人物が小汚いというか。普通、佐藤隆太がラフな格好をしていたら何人かは「この格好カッコいいな」と思ったりもするだろうが、この映画に関しては、まったくカッコいいと思わないだろう。むしろ、マネしちゃいけない。


この映画に出てくる人の背景はまったく明らかにされない。分かるのは単にダメな人だということだけである。映画として普通の作り方をするなら、過去との関連でなにか出来事が起こり・・・ダメじゃなかった自分との葛藤が・・とかいう感じになるのだろうが、いさぎよくそんなやり方を否定している。ダメな人たちではあるのだが、とにかく前へ前へ進んで行くのである。単に昔のことを忘れてしまっているだけかもしれないが、徹底して未来にダメが連鎖していくことを予感させるのだった。