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The New Takeuchi Journal Plus+

On The Web Worldwide Since 2001.01.01

「レスリング・ウィズ・シャドウズ」

映画

アメリカンプロレスの内幕を描いたことで有名なこの作品。試合の打ち合わせなんかの映像がはじめて白日の下にさらされたということで話題になった。ただ、自分はこの後に公開された「ビヨンド・ザ・マット」を見てしまっているし、プロレスの内幕はすでに知っている事柄なので衝撃はまったくなかった。


ただひとつダブルクロス(=プロレス界で裏切り、2重契約を意味する隠語)がどのようにカメラの前で行われるかというところに興味があった。ブレット・ハートはWWFとWCWを天秤にかけ、ビンス・マクマホンはブレットとの約束を破る。つまり、両方の裏切りというか腹の探り合いが最終的に交錯したのが「モントリオールの長い1日」だったということだ。


結局、ビンスの方が数段上手でブレットはタイトルを奪われWWFを追放される。「決着がうやむやになって乱入で終わりにする」という約束を信じたブレットはかわいそうだが、リング以上にガチンコの勝負だから仕方がない。WWFという大企業のオーナーのビンスは背負っているものが大きい。その重さが詰めの部分でのシビアさをもたらしたのだろう。個人的にはビンスの責任感に共感した。


プロレスはスポーツじゃない。だから、PRIDEとかと比べるのはおかしいと思う。裸の男がリングで戦うところは同じなのだが、実は同じところはそれだけなのである。だから、強い弱いは最終的に関係ないはずなのだ。でも、なんとなく決着がつく。なんのために決着をつけるのかといったら次の試合に進むためである。進行上ピリオドを打つ必要があるのである。


このあたりは大変難しいところで鑑賞する力が問われていると自分は思っている。プロレス鑑賞に比べれば、総合格闘技なんかはとても分かりやすい。強い者が勝つ、そういうシンプルなルールだ。プロレスが衰退していくのは、鑑賞する側が衰退していっているのだと自分は思っている。


なんでもかんでも公式化、単純化していこうとする世の中の流れがプロレスを押し流そうとしていると感じている。自分はだからこそ、今こそプロレスを鑑賞する能力を高め、少しでも流れに抵抗してやろうと思っている。