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The New Takeuchi Journal Plus+

On The Web Worldwide Since 2001.01.01

カウンター的雑誌

紙のプロレス」「コンティニュー」「映画秘宝」、いずれもクールな雑誌である。格闘技、ゲーム、映画というジャンルを王道とは異なった視点で解説するカウンターパンチのようなものだ。
なにかが足りないのだ。それに自分は気がついた。ロックというジャンルを扱ったクールな雑誌がないのだ。昔は「ロッキングオン」がなかなかいい線をついていたんだけど、市川哲史がいなくなって以来、センスが悪くなった。また当初ライバルとしていた「ミュージックライフ」がなくなってしまったのも痛い。
10年近く前の話だ。当時は再発が新譜とほぼ同様のペースでリリースされていた。まだCD化されていない名盤もたくさんあったので、新譜と同等の興奮をもって再発を喜んでいた。今はリリースされすぎだ。再発は重箱の隅をつつくようなものばかりで、昔のような興奮はない。
以前なにかの雑誌で見た企画がある。有名なDJが自身の選ぶ名盤を披露するというもので、だいたいの人はこれみよがしに聴いたことのないような12インチを紹介していた。その中で一人だけ異彩を放っていた人がいた。「インナーヴィジョンズ」(スティービー・ワンダー)とか「ホワッツゴーイングオン」(マーヴィン・ゲイ)とかめちゃくちゃ有名なアルバムばかりを紹介していたのだ。それでコメントに「隠れた名盤といういわれかたをするアルバムは多々あるが、これら真の名盤に匹敵するものはほとんどない」というようなことが書いてあって、自分はすごく感心した。
なかなか勇気のあるコメントで、自信がなければ言えないだろうと思った。かくいう自分もいろんな曲を集めて編集するときは、人が知らないような曲を入れて悦に入っているところがある。まったく、精進が足りない。猛省を促したい。有名であろうがなかろうが、いいと思ったものをいいというのはなかなか難しく、その良さを人に伝えるのは、さらに困難を伴う。
先に挙げたような雑誌がえらいのは、良いものを良いと伝えるために独自の努力をしているからだ。たとえば、例を挙げちゃ悪いけど「週刊プロレス」とか「ゴング格闘技」とかはプロレスや格闘技が載っているから読むわけだ。プロレスや格闘技が載ってなかったら手にもとらない。それが専門誌だという意見もあるだろうが、自分はその姿勢を努力不足だと言い切りたい。自分が「紙のプロレス」を買うのは、プロレスのことが載っていてしかもおもしろいからだ。ズバリいって「週刊プロレス」はプロレスのことが載っているだけだ。
それで今足りないのは、ロックについて読ませる努力をしている雑誌である。思えばここ10年くらいロック雑誌だけは増えている。なにが起こっているかといったらジャンルが細分化していて、そのジャンルごとの雑誌が増えているというわけだ。だから、載っているアーチストも限られている。自分みたいにいろんなものを聴いていると、いろんな雑誌をめくらなくてはいけないので大変である。インディロックやテクノを掘り下げるのもけっこうなんだけれど、そういうのはレコードショップのフリーペーパーがやればいい。めちゃくちゃ有名なバンド、U2とかそういうバンドをちがう切り口で紹介してくれないかなぁと切に思う。